第十三話 武者修行
夜になり誰ともなく、兄妹達が居間へと集まってくる
クリボーに実力の差を見せ付けられ、誰も話を切り出せないでいた
杏「 ・・・笑わせるぜ 」
突然、杏が吐き出した
杏「 この状態で優勝だ?何を夢みてるんだか・・・ 」
杏「 みんなして黙るなよ、まだ本番で負けたわけじゃないだろ
諦めたら本当に終わっちまうよ・・・ 」
慶太「 ・・・そうだな、杏の言うとおりだ。
悪い・・・ちょっと弱気になってたな 」
杏「 しっかりしてくれよな・・・
お前がバンク大会に出るって言ったんだろ?」
杏「 言いだしっぺがそんなでどうするよ・・・
これでも、お前のこと少しは信頼してるんだ 」
葵「 杏ちゃん・・・ 」
倍増「 杏姉ちゃんの言うとおりだ
まだ時間はあるし、もっと厳しい訓練して強くなろうよ 」
壷「 だな・・・このままじゃ腹の虫が治まらないぜ
・・・・・・・・・・個人的にも、あいつには復讐を・・・ブツブツ 」
兎「 俺は諦めてないぞ?くりぼーは俺が絶対に倒す! 」
強がりなのか、本心からでた言葉なのかそれは誰もわからなかった
つかの間の静寂が兄妹を包んだ・・・
廃慈「 ・・・私・・・くやしいっ! 」
一同「 !!?・・・ハイジが喋った!? 」
廃慈「 自分で志願した、片手なのに・・・何も出来なかった・・・
味方を守るどころか、満足に動くことも出来なかった・・・
葵姉さん・・・私・・・私・・・ごめん・・・ 」
倍増「 廃慈姉ちゃん一人の責任じゃないよ・・・
みんなで一つのチームなんだ 」
倍増「 それに、俺がもっとしっかりしてれば・・・
(廃慈姉ちゃんのこと守れたのに・・・)」
慶太「 落ち着こう、倍増の言うとおりだ・・・
誰が悪かったわけじゃない、みんなで一つのチームなんだ 」
慶太「 廃慈が悪かったというなら、俺も兎も同じだ・・・ 」
葵「 私だってむざむざと接近を許したし・・・ 」
壷「 俺だって・・・葵姉ぇは絶対に守るって決めてたのに・・・ 」
兎「 でもさ・・・
今のままじゃダメだってわかっただけでも儲けものだと思う 」
兎「 これが本番だったら、取り返しつかなかったしね
姉ちゃんには悪いけど、仇は絶対に取るから・・・ 」
慶太「 そうだな、あと3週間ある、出来る限りのことをやろう 」
その晩のこと・・・
廃慈は布団の中で泣き崩れていた
廃慈「 ・・・うっ・・・うぅっ・・・うっ 」
廃慈は悔しさのあまりに、みんなの前で思いのたけをぶつけた
感情が押し込められず、声を上げて泣いた
そして泣き疲れたのか・・・いつしか眠りについていた
倍増「 ハイドッ! 」
廃慈を心配して、姿を隠し部屋までついてきた倍増
倍増「 廃慈姉ちゃん・・・俺、絶対にもっと強くなるから
廃慈姉ちゃんをずっと守れるぐらい・・・
悲しい思いはもう・・・・させない! 」
廃慈の頭を優しくなでながら、倍増は心に誓った
夜が明け、次の日・・・
「 トントン 」と部屋のドアを叩く音がする
慶太「 ん?誰だ? 」
兎「 俺・・・ 」
慶太「 兎か、あいてるぞ 」
兎はドアを開け、部屋にはいるなり
兎「 兄ちゃん・・・俺さ・・・昨日ずっと考えてた 」
慶太「 何を? 」
兎「 俺、しばらく家を出ようとおもう・・・ 」
慶太「 へ?なんで? 」
兎「 強くなるために、旅にでてくるよ・・・
今のままじゃ、みんなの足を引っ張るだけだ 」
兎「 俺はみんなと比べても特に遅れてる
みんなと同じことしててもダメだと思うんだ・・・」
兎「 なあ・・・いいだろう?兄ちゃん・・・ 」
兎は真剣な目で、慶太の目を見る・・・
慶太「 ・・・ 」
慶太「 兎・・・いつの間にか男の顔になったな 」
兎「 なに言ってるんだよ、俺はずっと男だよ 」
慶太「 いや、いい・・・わかった、お前が納得いくようにやってみろ 」
兎「 ありがとう、兄ちゃん・・・みんなには内緒で行くよ 」
兎「 照れくさいし、みんなの顔みたら甘えちゃいそうだしさ 」
慶太「 そうか・・・みんなには俺から伝えておくよ 」
慶太「 兎・・・お前が戻るのを楽しみにしてるぞ 」
兎「 どこまで出来るかわからない・・・
でも、絶対に戻ってくるから 」
慶太「 わかってるさ・・・気の済むようにやってこい 」
兎「 わがままいってごめん・・・
じゃあ行ってくる・・・兄ちゃん、みんなによろしく 」
兎は自分の部屋に戻ると
旅の支度を整えて、そっと部屋を後にした
兎は誰もいない居間へ出ると
兄妹達の部屋がある廊下へ向かって頭を下げ
もう振り返らないと決めて外へ向かう
兎「 ・・・ん? 」
テーブルの上に何か置いてあるのに気がつく
兎「 これは・・・ 」
そこには、握り飯と手紙、封筒が置かれていた

兎「 葵姉ちゃん・・・・ 」
兎は涙をこらえつつ、傍にあった封筒を開ける
中には、葵が肌身離さず身に付けていたペンダントが入っていた
兎「(行ってくるよ・・・兄ちゃん、姉ちゃん、みんな・・・)」
クリボーに実力の差を見せ付けられ、誰も話を切り出せないでいた
杏「 ・・・笑わせるぜ 」
突然、杏が吐き出した
杏「 この状態で優勝だ?何を夢みてるんだか・・・ 」
杏「 みんなして黙るなよ、まだ本番で負けたわけじゃないだろ
諦めたら本当に終わっちまうよ・・・ 」
慶太「 ・・・そうだな、杏の言うとおりだ。
悪い・・・ちょっと弱気になってたな 」
杏「 しっかりしてくれよな・・・
お前がバンク大会に出るって言ったんだろ?」
杏「 言いだしっぺがそんなでどうするよ・・・
これでも、お前のこと少しは信頼してるんだ 」
葵「 杏ちゃん・・・ 」
倍増「 杏姉ちゃんの言うとおりだ
まだ時間はあるし、もっと厳しい訓練して強くなろうよ 」
壷「 だな・・・このままじゃ腹の虫が治まらないぜ
・・・・・・・・・・個人的にも、あいつには復讐を・・・ブツブツ 」
兎「 俺は諦めてないぞ?くりぼーは俺が絶対に倒す! 」
強がりなのか、本心からでた言葉なのかそれは誰もわからなかった
つかの間の静寂が兄妹を包んだ・・・
廃慈「 ・・・私・・・くやしいっ! 」
一同「 !!?・・・ハイジが喋った!? 」
廃慈「 自分で志願した、片手なのに・・・何も出来なかった・・・
味方を守るどころか、満足に動くことも出来なかった・・・
葵姉さん・・・私・・・私・・・ごめん・・・ 」
倍増「 廃慈姉ちゃん一人の責任じゃないよ・・・
みんなで一つのチームなんだ 」
倍増「 それに、俺がもっとしっかりしてれば・・・
(廃慈姉ちゃんのこと守れたのに・・・)」
慶太「 落ち着こう、倍増の言うとおりだ・・・
誰が悪かったわけじゃない、みんなで一つのチームなんだ 」
慶太「 廃慈が悪かったというなら、俺も兎も同じだ・・・ 」
葵「 私だってむざむざと接近を許したし・・・ 」
壷「 俺だって・・・葵姉ぇは絶対に守るって決めてたのに・・・ 」
兎「 でもさ・・・
今のままじゃダメだってわかっただけでも儲けものだと思う 」
兎「 これが本番だったら、取り返しつかなかったしね
姉ちゃんには悪いけど、仇は絶対に取るから・・・ 」
慶太「 そうだな、あと3週間ある、出来る限りのことをやろう 」
その晩のこと・・・
廃慈は布団の中で泣き崩れていた
廃慈「 ・・・うっ・・・うぅっ・・・うっ 」
廃慈は悔しさのあまりに、みんなの前で思いのたけをぶつけた
感情が押し込められず、声を上げて泣いた
そして泣き疲れたのか・・・いつしか眠りについていた
倍増「 ハイドッ! 」
廃慈を心配して、姿を隠し部屋までついてきた倍増
倍増「 廃慈姉ちゃん・・・俺、絶対にもっと強くなるから
廃慈姉ちゃんをずっと守れるぐらい・・・
悲しい思いはもう・・・・させない! 」
廃慈の頭を優しくなでながら、倍増は心に誓った
夜が明け、次の日・・・
「 トントン 」と部屋のドアを叩く音がする
慶太「 ん?誰だ? 」
兎「 俺・・・ 」
慶太「 兎か、あいてるぞ 」
兎はドアを開け、部屋にはいるなり
兎「 兄ちゃん・・・俺さ・・・昨日ずっと考えてた 」
慶太「 何を? 」
兎「 俺、しばらく家を出ようとおもう・・・ 」
慶太「 へ?なんで? 」
兎「 強くなるために、旅にでてくるよ・・・
今のままじゃ、みんなの足を引っ張るだけだ 」
兎「 俺はみんなと比べても特に遅れてる
みんなと同じことしててもダメだと思うんだ・・・」
兎「 なあ・・・いいだろう?兄ちゃん・・・ 」
兎は真剣な目で、慶太の目を見る・・・
慶太「 ・・・ 」
慶太「 兎・・・いつの間にか男の顔になったな 」
兎「 なに言ってるんだよ、俺はずっと男だよ 」
慶太「 いや、いい・・・わかった、お前が納得いくようにやってみろ 」
兎「 ありがとう、兄ちゃん・・・みんなには内緒で行くよ 」
兎「 照れくさいし、みんなの顔みたら甘えちゃいそうだしさ 」
慶太「 そうか・・・みんなには俺から伝えておくよ 」
慶太「 兎・・・お前が戻るのを楽しみにしてるぞ 」
兎「 どこまで出来るかわからない・・・
でも、絶対に戻ってくるから 」
慶太「 わかってるさ・・・気の済むようにやってこい 」
兎「 わがままいってごめん・・・
じゃあ行ってくる・・・兄ちゃん、みんなによろしく 」
兎は自分の部屋に戻ると
旅の支度を整えて、そっと部屋を後にした
兎は誰もいない居間へ出ると
兄妹達の部屋がある廊下へ向かって頭を下げ
もう振り返らないと決めて外へ向かう
兎「 ・・・ん? 」
テーブルの上に何か置いてあるのに気がつく
兎「 これは・・・ 」
そこには、握り飯と手紙、封筒が置かれていた

兎「 葵姉ちゃん・・・・ 」
兎は涙をこらえつつ、傍にあった封筒を開ける
中には、葵が肌身離さず身に付けていたペンダントが入っていた
兎「(行ってくるよ・・・兄ちゃん、姉ちゃん、みんな・・・)」