FEZ(ファンタジーアースゼロ)を、もっとたくさんの人に知ってもらい、楽しんでもらうためのコンテンツを置いています。

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第二十話 守るもの守られるもの

烏賊足兄妹は、つかの間の休息を終え、再び特訓を開始した

烏賊足兄妹の進歩はめざましく
新しい技の開発や、習得にも余念がなかった

そして、合同練習の日

慶太「 倍増と廃慈の連携は凄まじいものがあるな 」

壷「 確かに・・・倍増が常に廃慈の影みたくついて回るから
   下手に手を出すと返り討ちにされる 」

慶太「 あの二人は、本番でもコンビ組ませたらどうだ? 」

壷「 うん、俺もそのつもりだ・・・
   あれだけ息の合った連携は中々無いと思う・・・ 」

壷「 なんか倍増は、廃慈を守るために立ち回ってる気がするんだよね 」

慶太「 ふむ・・・そういわれれば・・・そうだな 」

慶太「 倍増は、廃慈が危なくなるのを事前によんでる気がしないでもないな 」


片手ウォリアーは、最前線で立ち回るため、常に敵の弾幕にさらされる

本来、最前線でバッシュされると、片手でも致命傷を負うが
廃慈だけはバッシュを受けても、何故か平気だった

理由は、倍増による妨害
廃慈がスタンしても、倍増が敵を妨害し、追撃を潰していたのだ

廃慈「(倍増がいると、とても安心して戦える・・・)」

ある日の晩のことだった、廃慈は倍増の部屋を訪ねた

コンコンッ


・・・


廃慈「(あれ?倍増いないのかな・・・)」
倍増「 あれ?廃慈姉ちゃん・・・何か用? 」
廃慈「 ・・・ 」うなづく

そこに見てたかの様なタイミングで現れる倍増
実は、ハイドで廃慈を見ていたのだが、廃慈にはバレていない

いかにも偶然を装ってはいたが、声はうわずっていた


倍増「 珍しいね、姉ちゃんから用事があるなんてさ、まぁ入ってよ 」

倍増「 それで・・・用事ってなんだろう? 」
廃慈「 ・・・ 」

しばらく沈黙の後、廃慈が消え入りそうな声で倍増へ話しかける

廃慈「 いつも、守ってくれてありがとう・・・ 」

廃慈「 倍増がいると、凄く安心して戦える・・・ 」

廃慈「 本当は片手の私が、守らないといけないんだよね・・・ 」

廃慈「 でも・・・本当にありがとう 」

倍増「 なんだそんなことか、てっきり俺は・・・ 」
廃慈「 ・・・? 」

倍増「 いやなんでもない、そんなの気にしないで! 」
倍増「 僕はさ、短剣としてできることをやってるだけだから・・・ 」

廃慈「 でも・・・ 」

倍増「 いいっていいって、僕にできることなら何でもするよ・・・ 」
倍増「 それにさ・・・ 」

廃慈「 ・・・? 」

何かを言いかけた倍増を、きょとんと見つめる廃慈

倍増「 廃慈姉ちゃん・・・俺、廃慈姉ちゃんを守るって決めたんだ 」
廃慈「 ・・・? 」

倍増「 俺さ・・・廃慈姉ちゃんを守りたい・・・」
倍増「 バンクだけじゃなくて・・・ずっとずっと守りたい・・・・ 」
廃慈「 !!? 」

倍増の言葉をようやく理解した廃慈

廃慈「 ・・・えっ・・でも、あの・・・ 」

倍増「 あー言っちゃった・・・でも、冗談なんかじゃないから・・・ 」

倍増「 俺は廃慈姉ちゃんを・・・一生守っていくって決めたんだ 」

倍増「 廃慈姉ちゃん・・・大好きだ 」

廃慈「 ・・・倍増 」

思わぬ告白に、どうすればいいのかわからず廃慈は顔を赤くしてうつむいた

倍増「 俺さ、姉ちゃんが慶太兄ちゃんのこと気にしてるって知ってるよ 」
廃慈「 ■◎▲◇%&!? 」

さらに顔を赤くしてうつむく廃慈

倍増「 隠さなくてもいいよ、廃慈姉ちゃん見てればわかるし・・・ 」

もちろん嘘である

倍増は、ハイドで廃慈の部屋にもぐりこみ廃慈の告白を聞いていた


倍増「 それでも、俺は姉ちゃんのが好きだ、姉ちゃんを守る 」

倍増「 姉ちゃんは気にしないで、俺が勝手にそう決めてるだけだから 」

廃慈「 ・・・ 」

廃慈「 ・・・・・・ 」

言葉が見つからないのか、廃慈は倍増の顔を見つめる

倍増「 いいよ、無理に何か言おうとしなくてもさ
    こんなこと言うつもりじゃなかったし・・・ 」

倍増「 迷惑かもしれないけど、俺は俺のために姉ちゃんを守るんだ
    姉ちゃんに見返りを求めるつもりもないよ 」

廃慈「( でも、いつも倍増が傷ついて・・・)」

廃慈は何も言葉に出来なかったが、倍増の目をみて首を横に振った

倍増「 許してよ、姉ちゃん・・・俺は姉ちゃん守るためなら・・・
    何を犠牲にしたって構わない、それぐらい強く想ってる 」

倍増「 だから、やめて、なんて言わずに・・・
    しばらくは、見守っててよ・・・ね? 」

廃慈「 ・・・ 」
倍増の目を見つめたまま廃慈はうなづいた

廃慈「(・・・倍増・・・)」
廃慈の心の中で、何かが変わろうとしていた