第二十三話 両手の真髄
しいたけの家に転がり込んだ兎は
しいたけを師と仰ぎ両手の猛特訓をしていた
しいたけ「 まずはこの棒を使って、素振りをするのじゃ 」
しいたけ「 ノルマはスマッシュ500回にヘビスマ500回
ドラゴンテイルを500回にクランブルを500回じゃ 」
しいたけ「 これを毎日欠かさずこなすのじゃ 」
兎「 げっ!しいたけ先生・・・この棒って先に岩が・・・
うりゃっ・・・おおおぅ・・・・ふむぅううう・・・・ 」
しいたけ「 うんうん、100kgぐらいの岩がついとるからのぅ・・・
それが普通に振り回せるようになれば
お前の攻撃は空気を切り裂くほどの威力になるはずじゃ 」
しいたけ「 どれ・・・見本を見せてやるとするか 」
しいたけは、兎からトレーニング用の棒を受け取ると
苦もなく楽々と振り回し、次々と技をして見せた
兎「 すごい・・・その重量なのに、空気を切り裂く音が聞こえました 」
しいたけ「 まぁ、わしも年じゃからこんなもんかのぅ・・・ 」
しいたけ「 この棒を自在に扱れるようになれば
おぬしのデリーターなんぞ、持ってないに等しいわい 」
しいたけ「 とりあえず、今日のノルマを終わらせてみぃ 」
兎「 はい!やってみます 」
とは言ったものの、岩のついた棒を持ち上げる事すら出来なかった
しいたけ「 若いのにだらしないのぅ・・・
まぁ、これは基礎じゃから毎日続けるようにな 」
兎「 ・・・はい 」
兎は、しいたけに弟子入りしたものの
早くもついていけるか不安になっていた
翌日からは、基礎体力トレーニングから始まり
しいたけを相手にした実戦トレーニングや
しいたけ講師による両手の立ち回り講習が行われた
しいたけ「 ほれ、おぬしは我慢が足りないようじゃな・・・
そんな焦って攻撃せんでもよかろうに 」
しいたけ「 これでは格下の相手しか倒すことはできんじゃろう・・・ 」
兎「 ・・・ 」
しいたけ「 兎や・・・両手に一番必要な資質とはなんじゃと思う? 」
兎「 ・・・より、たくさんの敵を倒すことですか? 」
しいたけ「 間違えてはおらん、だがな・・・
お前の様に、攻撃するつど反撃を受けているとどうじゃ? 」
兎「 自分もすぐに力尽きてしまいます 」
しいたけ「 そうじゃ、両手は存在自体が相手へのプレッシャーになるのじゃ
火サラなども脅威には違いないが、詠唱を必要とするのじゃ
ましてや大魔法は、続けて放つ事はできんのじゃ・・・ 」
しいたけ「 両手ウォリアーのスマッシュやヘビスマは続けて何度も撃てる
もし、バッシュを受けたときに敵の両手がいたとしたら、どうじゃ? 」
兎「 倒されるのを覚悟します・・・ 」
しいたけ「 うむ、倒されなくとも・・・無事ではすまないじゃろう 」
しいたけ「 おぬしの様に、自分が自分が・・・と攻めていったら
味方がチャンスを作っても、チャンスを生かすことができんわい 」
兎は、廃慈との特訓を思い出していた
連携を意識しなかったため慶太一人にいいように弄ばれたのだ
兎「 はい・・・ 」
しいたけ「 両手に問われる資質は、いかに相手の攻撃をかわし
自分の攻撃を敵に叩き込むかじゃ・・・ 」
しいたけ「 そのためには、まず周りをよく把握しなければならぬ 」
しいたけ「 敵にヘビスマを当てたとしても、生かして帰したり
カウンターにバッシュやヘルをもらってしまうと
おぬしの負けじゃと覚えておくのじゃ・・・ 」
兎「 はい・・・ 」
しいたけ「 特にヘビスマなどは、全身の力を込めて放つ技じゃ・・・・
当たれば大ダメージになるが、外れれば無防備になってしまう 」
しいたけ「 わしとおぬしの立ち合いを思い出してみよ 」
兎「 ・・・俺の攻撃に必ず、先生からカウンターが入ってました・・・
体制を立て直した後では、もう安全な距離をとられていて・・・ 」
しいたけ「 それに気づいたのなら、あとは実践じゃ・・・
お主の身体能力は、わしの若い頃よりもはるかに高いと見える 」
しいたけ「 あとは流れをつかむ術を学び、努力を怠らなければ
お主はきっと名を残すウォリアーとなれるじゃろう 」
兎「 本当ですか?しいたけ先生 」
しいたけ「 まぁのう・・・わしの教えを理解できればじゃが 」
兎「 ・・・俺に足りないものは、味方を信じてチャンスを待つ我慢の心 」
しいたけ「 だからといって、味方がチャンス作るまで見ていてはダメじゃぞ? 」
兎「 というと? 」
しいたけ「 チャンスというものは、常に最前線に生まれるものじゃ
いつでも攻撃可能な距離で、維持することも大切じゃ
両手が最前線いるだけで、相手への威圧にもなるのぅ・・・ 」
しいたけ「 さらに、わざと隙を見せて相手の攻撃を引き出す事も大切じゃ 」
しいたけ「 相手が攻撃を行えば隙が生まれる
その隙を、味方ソーサラーや片手に拾ってもらうのじゃ 」
しいたけ「 チャンスは待つのではないぞい
チャンスは自分で作り、掴みにいくのじゃ 」
兎「 ・・・ 」
しいたけ「 最前線で攻撃を回避しつつ、チャンスを作り全力で攻め込む!
簡単に言えばこうゆことじゃ・・・ 」
兎「 わかりました 」
しいたけとの特訓は、兎の潜在能力を十分に引き出した
身体的な能力はもちろん
考え方や味方との立ち回りについても、兎は学んだ
そして2週間の時が流れた
しいたけ「 そろそろ型になってきたかのぅ・・・ 」
次の日
しいたけは、兎の特訓の総仕上げとして最後に課題を与えた
課題の内容は
山の奥にいる狼の群れを一人で退治する、というものだった
兎「 一人で・・・ですか? 」
しいたけ「 無論じゃ・・・
今のおぬしなら油断さえしなければ問題はないはずじゃがのう 」
しいたけ「 じゃが、くれぐれも注意するのじゃぞ・・・
守ってくれる味方がおらんから、下手をすれば命を失う 」
兎「 はい・・・ 」
しいたけ「 忘れるな・・・チャンスを作り、確実に攻撃するのじゃぞ・・・ 」
兎「 はい!では、行ってまいります 」
それから3日が過ぎた
傷つきながらにも、兎は無事に山から降りてきた
しいたけ「 うむ、戻るがよい・・・わしが教えることはもうない 」
兎「 しいたけ先生!短い間でしたが、ありがとうございました 」
兎は、しいたけに向かって深々と頭を下げたあと、帰路へとついた
しいたけを師と仰ぎ両手の猛特訓をしていた
しいたけ「 まずはこの棒を使って、素振りをするのじゃ 」
しいたけ「 ノルマはスマッシュ500回にヘビスマ500回
ドラゴンテイルを500回にクランブルを500回じゃ 」
しいたけ「 これを毎日欠かさずこなすのじゃ 」
兎「 げっ!しいたけ先生・・・この棒って先に岩が・・・
うりゃっ・・・おおおぅ・・・・ふむぅううう・・・・ 」
しいたけ「 うんうん、100kgぐらいの岩がついとるからのぅ・・・
それが普通に振り回せるようになれば
お前の攻撃は空気を切り裂くほどの威力になるはずじゃ 」
しいたけ「 どれ・・・見本を見せてやるとするか 」
しいたけは、兎からトレーニング用の棒を受け取ると
苦もなく楽々と振り回し、次々と技をして見せた
兎「 すごい・・・その重量なのに、空気を切り裂く音が聞こえました 」
しいたけ「 まぁ、わしも年じゃからこんなもんかのぅ・・・ 」
しいたけ「 この棒を自在に扱れるようになれば
おぬしのデリーターなんぞ、持ってないに等しいわい 」
しいたけ「 とりあえず、今日のノルマを終わらせてみぃ 」
兎「 はい!やってみます 」
とは言ったものの、岩のついた棒を持ち上げる事すら出来なかった
しいたけ「 若いのにだらしないのぅ・・・
まぁ、これは基礎じゃから毎日続けるようにな 」
兎「 ・・・はい 」
兎は、しいたけに弟子入りしたものの
早くもついていけるか不安になっていた
翌日からは、基礎体力トレーニングから始まり
しいたけを相手にした実戦トレーニングや
しいたけ講師による両手の立ち回り講習が行われた
しいたけ「 ほれ、おぬしは我慢が足りないようじゃな・・・
そんな焦って攻撃せんでもよかろうに 」
しいたけ「 これでは格下の相手しか倒すことはできんじゃろう・・・ 」
兎「 ・・・ 」
しいたけ「 兎や・・・両手に一番必要な資質とはなんじゃと思う? 」
兎「 ・・・より、たくさんの敵を倒すことですか? 」
しいたけ「 間違えてはおらん、だがな・・・
お前の様に、攻撃するつど反撃を受けているとどうじゃ? 」
兎「 自分もすぐに力尽きてしまいます 」
しいたけ「 そうじゃ、両手は存在自体が相手へのプレッシャーになるのじゃ
火サラなども脅威には違いないが、詠唱を必要とするのじゃ
ましてや大魔法は、続けて放つ事はできんのじゃ・・・ 」
しいたけ「 両手ウォリアーのスマッシュやヘビスマは続けて何度も撃てる
もし、バッシュを受けたときに敵の両手がいたとしたら、どうじゃ? 」
兎「 倒されるのを覚悟します・・・ 」
しいたけ「 うむ、倒されなくとも・・・無事ではすまないじゃろう 」
しいたけ「 おぬしの様に、自分が自分が・・・と攻めていったら
味方がチャンスを作っても、チャンスを生かすことができんわい 」
兎は、廃慈との特訓を思い出していた
連携を意識しなかったため慶太一人にいいように弄ばれたのだ
兎「 はい・・・ 」
しいたけ「 両手に問われる資質は、いかに相手の攻撃をかわし
自分の攻撃を敵に叩き込むかじゃ・・・ 」
しいたけ「 そのためには、まず周りをよく把握しなければならぬ 」
しいたけ「 敵にヘビスマを当てたとしても、生かして帰したり
カウンターにバッシュやヘルをもらってしまうと
おぬしの負けじゃと覚えておくのじゃ・・・ 」
兎「 はい・・・ 」
しいたけ「 特にヘビスマなどは、全身の力を込めて放つ技じゃ・・・・
当たれば大ダメージになるが、外れれば無防備になってしまう 」
しいたけ「 わしとおぬしの立ち合いを思い出してみよ 」
兎「 ・・・俺の攻撃に必ず、先生からカウンターが入ってました・・・
体制を立て直した後では、もう安全な距離をとられていて・・・ 」
しいたけ「 それに気づいたのなら、あとは実践じゃ・・・
お主の身体能力は、わしの若い頃よりもはるかに高いと見える 」
しいたけ「 あとは流れをつかむ術を学び、努力を怠らなければ
お主はきっと名を残すウォリアーとなれるじゃろう 」
兎「 本当ですか?しいたけ先生 」
しいたけ「 まぁのう・・・わしの教えを理解できればじゃが 」
兎「 ・・・俺に足りないものは、味方を信じてチャンスを待つ我慢の心 」
しいたけ「 だからといって、味方がチャンス作るまで見ていてはダメじゃぞ? 」
兎「 というと? 」
しいたけ「 チャンスというものは、常に最前線に生まれるものじゃ
いつでも攻撃可能な距離で、維持することも大切じゃ
両手が最前線いるだけで、相手への威圧にもなるのぅ・・・ 」
しいたけ「 さらに、わざと隙を見せて相手の攻撃を引き出す事も大切じゃ 」
しいたけ「 相手が攻撃を行えば隙が生まれる
その隙を、味方ソーサラーや片手に拾ってもらうのじゃ 」
しいたけ「 チャンスは待つのではないぞい
チャンスは自分で作り、掴みにいくのじゃ 」
兎「 ・・・ 」
しいたけ「 最前線で攻撃を回避しつつ、チャンスを作り全力で攻め込む!
簡単に言えばこうゆことじゃ・・・ 」
兎「 わかりました 」
しいたけとの特訓は、兎の潜在能力を十分に引き出した
身体的な能力はもちろん
考え方や味方との立ち回りについても、兎は学んだ
そして2週間の時が流れた
しいたけ「 そろそろ型になってきたかのぅ・・・ 」
次の日
しいたけは、兎の特訓の総仕上げとして最後に課題を与えた
課題の内容は
山の奥にいる狼の群れを一人で退治する、というものだった
兎「 一人で・・・ですか? 」
しいたけ「 無論じゃ・・・
今のおぬしなら油断さえしなければ問題はないはずじゃがのう 」
しいたけ「 じゃが、くれぐれも注意するのじゃぞ・・・
守ってくれる味方がおらんから、下手をすれば命を失う 」
兎「 はい・・・ 」
しいたけ「 忘れるな・・・チャンスを作り、確実に攻撃するのじゃぞ・・・ 」
兎「 はい!では、行ってまいります 」
それから3日が過ぎた
傷つきながらにも、兎は無事に山から降りてきた
しいたけ「 うむ、戻るがよい・・・わしが教えることはもうない 」
兎「 しいたけ先生!短い間でしたが、ありがとうございました 」
兎は、しいたけに向かって深々と頭を下げたあと、帰路へとついた