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こぼれ話11 兎とユノのお買い物

烏賊足家に厄介になるユノであったが
なんせ着の身着のままで転がりこんできたため
いろいろと色々と足りないものが多かった

ユノ「 あの、ちょっと・・・兎さん 」
兎「 どした? 」

ユノ「 実は・・・ 」
ユノは兎に買い物に行きたいけどお金が無いことを含め相談する

兎「 そうだよな、ユノっちもパンツぐらい自分の欲しいよな・・・ 」
ユノ「 パッ?・・・そんなこと誰も言ってないっ! 」

兎「 ちょっと待ってろ 」

相変わらず人の話は聞いてない兎である

兎はしばらく席を外すと
高価そうな金時計を手に戻ってくる

ユノ「 ・・・それは? 」
兎「 よく考えたら俺も金なんて持ってないからな、これ売ってお金にしよう 」

ユノ「 でも、それ・・・いいの?かなり高価なものに見えるけど 」
兎「 親父の形見だから、それなりで売れるんじゃないかな? 」

ユノ「 形見?そんな大切なもの売ろうなんて、あなた馬鹿じゃないの・・・ 」
兎「 いいって、いいって、遠慮しないでも 」

ユノ「 遠慮とかの話してないっ!! 」
兎「 そうなの?時計は気に入らないか・・・お袋の形見の宝石にしとく? 」

ユノ「 ・・・両親の思い出の品を、そんな簡単に売ろうなんて・・・ 」
ユノ「 あなたをちょっと見損ないました 」

兎「 ああ、そんなことか・・・そうだな、親父ならきっと・・・ 」

兎「 『 思い出より、今生きてる者の方が大切だ 』って言うと思う 」

兎「 親父や、お袋との思い出は俺の心の中にちゃんとしまってあるよ 」

ユノ「 兎さん・・・ 」

兎「 んじゃ、いこう 」
ユノ「 ・・・うん 」

こうして兎とユノは、烏賊足パパの形見を片手に市場へと向かった

市場が近づくにつれ人の往来が激しくなる
兎は人ゴミを上手く避けて進むが、ユノは必死になってついていく

ユノ「 あっ、ちょっと、兎さん、待って・・・ 」
兎「 しょうがないな・・・ 」

兎はユノのところまで戻ると、手を取って先導する

ユノ「 あっ・・・ちょっと、恥ずかしいから手離して・・・ 」
兎「 市場は人が多いから、こうすればはぐれる心配もないでしょ? 」

ユノ「 誰かに見られたら誤解されるじゃないっ! 」
兎「 誤解ってなにを? 」

ユノ「 ・・・なんでもない 」


二人は、人ゴミをこえ、市場にたどり着き
必要なものを買った

兎「 しかし、沢山買ったな・・・パンツは売ってなくて残念だったね 」
ユノ「 うるさいっ、馬鹿・・・死ね! 」

そう言いながらも、家の近所まで繋いだ手を放そうとはしないユノだった