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第三十話 再会

バンク大会までいよいよ1週間と迫った、ある日のこと

ナラン「 ここだ・・・ 」

テオルスは表札を読む

テオルス「 烏賊足倍増・・・本当に倍増なのか? 」

ナラン「 わからない、でもバンク参加名簿で見た時、倍増だって思った 」
テオルス「 それで、わざわざこんなところまで・・・ 」

ナラン「 当然だろう・・・ 」
ナラン「 あの時、私のせいで倍増を置き去りにしてしまった 」
アル「 ナラン姉ちゃんは、悪くないよ・・・悪いのは僕だ・・・ 」

テオルス「 二人とも自分を責めるんじゃない 」
テオルス「 あの時はどうすることも出来なかった・・・ 」
テオルス「 むしろ、みんなが脱出できたのは奇跡だよ 」

ナラン「 それでも・・・私が倍増の代わりに・・・ 」
テオルス「 お前が捕まったら、残された他の仲間が無事ではなかった 」
テオルス「 仕方ないことだったんだ、ナラン・・・もう自分を責めるのはやめよう 」

3人は烏賊足家の門をくぐる

テオルス「 すいませんー 」
テオルス「 どなたかいらっしゃいますか? 」

家に向かいテオルスが呼びかけると、中から葵が顔を出す

葵「 はい、はーい、どちら様ですか? 」

ナラン「 私達は、ヨダレ姫自警団と言うものです 」
ナラン「 この家にいる倍増君に会いにきたのですが・・・ 」

葵「 倍増ちゃん?えっと、あの・・・どのような関係ですか? 」

ナラン「 実は・・・・ 」

ナランは倍増と自分達の関係を、葵に包み隠さず伝えた

葵「 ・・・それじゃあなた達は、倍増の? 」

テオルス「 はい・・・でも、確信はありません 」
テオルス「 バンク参加名簿に倍増の名を見つけ、訪ねてきました 」

軒先で話をしていると、家の中から廃慈がでてくる

葵「 あ、廃慈ちゃん・・・倍増ちゃんどこにいるか知らない? 」
廃慈「 ・・・ 」首を横に振る
葵「 そう・・・ 」

倍増「 あっー!? 」
廃慈の後ろでハイドをしていた倍増が突然声を上げた

廃慈「( なんで倍増が私の後ろに・・・ )」

倍増「 ・・・ナ、ナラン姉ちゃんにテオルス兄ちゃん! 」
倍増「 それに・・・アルか!? 」

ナラン「 ・・・倍増? 」
テオルス「 倍増!無事だったか・・・このやろう 」
アル「 倍増兄ちゃん・・・ 」

ナラン「 お前・・・無事だったのか、良かった・・・ 」

倍増「 ナラン姉ちゃん達こそ・・・ 」
倍増「 またこうして会えるなんて・・・・ 」

葵「 みなさん、こんなところで立ち話もなんだから家の中へどうぞ 」

家に入り、今まであったことを互いに話合う

倍増「 それで、あの時の指揮官が僕のことを引き取ってくれたんだ 」

倍増「 烏賊足パパは、ナラン姉ちゃんやみんなも保護するって 」
倍増「 探してくれたみたいだけど、見つからなかったみたい・・・ 」

ナラン「 そうだったのか・・・ 」

ナラン「 私達は、囲みを突破した後、中央大陸を北上して
     ホルディン町のほうまで逃げていたんだ・・・ 」

テオルス「 しばらくホルディンに身を隠したあと
      ほとぼりが冷めた頃にカセドリアへ戻ってきたんだ 」

アル「 あの後ね・・・ナラン姉ちゃんずっと自分を責め続けて・・・ 」

ナラン「 アル!余計なことは言わなくていい 」
アル「 ・・・でも 」

ナラン「 倍増、みんなお前のこと心配してたんだ・・・ 」
テオルス「 倍増、お前が無事だってわかったらみんな喜ぶぞ〜 」
アル「 倍増兄ちゃん、僕たちと一緒にみんなのところへ帰ろうよ 」

倍増「 ・・・ 」

倍増「 ・・・でも 」

ナラン「 うん?どうした? 」

葵「 倍増ちゃん・・・もし倍増ちゃんが元の仲間のところへ帰りたいなら・・・ 」
葵「 それはそれで良いんだよ・・・?誰も倍増ちゃんを責めたりしない 」

葵「 倍増ちゃんが、一番いいと思うようにするといいよ 」

倍増「 ナラン姉ちゃん・・・ちょっと時間もらっていいかな・・・ 」

こうして、3人は烏賊足家に一晩厄介になることになった

慶太「 へぇー、それじゃ昔の倍増の仲間だったんですか? 」

兎「 ナランさん、強そうだな・・・身のこなしに隙がないよ 」
ナラン「 まあ、それはおいおいと・・・ 」

ナラン「 3人も押しかけちゃって迷惑かけます 」

葵「 元々大家族だから、いまさら少し増えたって心配ないですよ 」
テオルス「 そういって頂けると、助かります 」

慶太「 まあ、硬いことは抜きで、色々な話を聞かせてください 」

ナランたちを囲んで団欒に花が咲く中・・・倍増は一人抜け出した

倍増「 ・・・どうすれば・・・ 」

倍増は迷っていた

勿論、昔の仲間も大切だ・・・
自分を育ててくれた烏賊足家も大切・・・
どちらかを選ぶなんて想像も付かないことだった

いくら時間があったとしても、答えなんて出るはずもなかった

みんなの輪から姿を消した倍増に気付いた廃慈が心配して様子をみにくる

廃慈「 ・・・倍増 」
倍増「 廃慈姉ちゃん・・・ 」

廃慈「 悩んでるの・・・? 」
倍増「 ・・・どうしたらいい? 」

廃慈「 それを私に聞いてどうするの?・・・私に答えて欲しいの? 」
倍増「 ・・・自分で答えを出さなきゃいけない事だ 」

廃慈「 倍増・・・もしね、倍増が他にいっても・・・ 」
倍増「 ・・・ 」

廃慈「 倍増が私にとって・・・ 」
倍増「 ・・・ 」

廃慈「 大切な・・・・・・兄妹だって事に変わりはないから・・・ 」
倍増「 ・・・うん 」

廃慈「 それに・・・ 」
倍増「 それに? 」

じっと倍増を見つめる廃慈
目に涙が浮かばせながら廃慈は続けた

廃慈「 ・・・倍増は・・・兄妹ってだけじゃない・・・ 」
倍増「 ・・・ 」

廃慈「 私・・・倍増のこと・・・ 」
倍増「 廃慈姉ちゃん・・・ 」

廃慈の言葉が終わる前に、倍増は廃慈の肩を抱き寄せた

倍増「 廃慈姉ちゃん・・・ 」
倍増「 俺は、ずっと姉ちゃんのこと・・・ 」

廃慈「 でもね・・・ 」
廃慈「 私のせいで倍増が仲間のところへ帰れないとしたら・・・ 」

廃慈「 私・・・ 」

倍増「 ・・・ううん、もう言わないで・・・そんなんじゃないから・・・ 」

倍増「 廃慈姉ちゃん・・・ 」
廃慈「 ・・・うん? 」

しばらく廃慈を抱きしめていた倍増

倍増「 ・・・廃慈姉ちゃんって温かいね・・・ 」
倍増「 それに・・・すごい良い匂いがする・・・ 」
廃慈「 馬鹿・・・ 」


そして夜が明け、次の日

倍増「 ナラン姉ちゃん、ごめん! 」
倍増「 僕は、ここに残るよ 」

ナラン「 そう・・・ 」

倍増「 でも、みんなのところへ戻りたくないわけじゃないよ 」
ナラン「 うん 」

倍増「 今の僕は、烏賊足倍増なんだ・・・ 」
倍増「 だから、みんなにもよろしく伝えてほしい 」

ナラン「 わかった、でも倍増・・・これだけは忘れないで 」
倍増「 ・・・なに? 」

ナラン「 倍増はいつまでも 私達の仲間だ ってこと 」

倍増「 勿論! 」
倍増「 バンク大会が終わったら、みんなに会いにいくよ! 」

テオルス「 それがいい、みんなも喜ぶだろう 」
テオルス「 待ってるぞ 」

テオルス「 ・・・そうそう、いい忘れてたけど 」
倍増「 なに? 」

テオルス「 実は、俺達もバンク大会に出る事になった 」
テオルス「 お前と戦えるのを楽しみにしてるぞ 」
倍増「 ・・・マジぃ? 」

ナラン「 本当さ、アルも出るんだよ 」
アル「 倍増兄ちゃん、手加減はしないよ? 」

倍増とナラン達は再会した
かつての仲間として・・・バンクのよきライバルとして