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第三十二話 2つの再会

闘技場に向かう一人の男
彼の名はしいたけ、兎の師である

しいたけの姿をみた警備中の一人の兵士が、しいたけに近寄る

兵士「 もし・・・ 」
しいたけ「 なんじゃ? 」

兵士「 もしや、あなたは・・・ 」
兵士「 旧カセドリア第一師団のしいたけ団長殿では・・・? 」

しいたけ「 ほっほっほ・・・ 」
しいたけ「 今はしがない、キノコ売りじゃがのう 」

兵士「 やはり! 」
兵士は姿勢を直し、敬礼をした

兵士「 私は旧カセドリア第一師団に所属しておりました 」
兵士「 とても・・・懐かしゅうございます 」

しいたけ「 なに、そんなに緊張するでない・・・ 」
しいたけ「 わしはただのキノコ売りじゃよ・・・ 」

しいたけ「 それよりお主、烏賊足家の者が大会に出場すると聞いたが 」
兵士「 はっ、確かに先ほど受付でエントリーを済ませておりました 」

しいたけ「 ふむ・・・そのもの達の下へ連れていってはくれんかのう? 」
兵士「 はっ、こちらになります 」

そういうと、兵士はしいたけを先導して選手控え室へと案内した

兵士「 ここが、烏賊足家の控え室であります 」
しいたけ「 すまんのう・・・烏賊足殿の息子が出るそうじゃて 」

しいたけは兵士にお礼を言うと、控え室を覗き込んだ

兎「 ん!先生・・・?しいたけ先生! 」
しいたけ「 ほっほっほ 」
しいたけ「 坊主、元気にしておったかのう? 」

兎「 はい、しいたけ先生は・・・ 」
兎「 大会を見られに、おいでになられたのですか・・・? 」

しいたけ「 まぁ、お主の活躍が気になっての・・・ 」
しいたけ「 それに、ほれ・・・例のネックレスの主も気になってのう・・・ 」

壷「 ・・・兎兄ぃが・・・あんなまともな話し方するなんて・・・ 」

葵「 兎ちゃん・・・なんか悪いものでも食べたのかしら・・・ 」

兎の態度に驚く兄妹たち

しいたけ「 ところで兎よ・・・烏賊足殿の息子さんはどなたじゃ? 」
兎「 はい・・・兄ちゃん!ちょっといいか? 」
慶太「 うん?なんだ? 」

しいたけ「 ふむ・・・主が烏賊足殿の実子か・・・ 」
しいたけ「 良い面構えをしておる 」

慶太「 失礼ですが、どちら様でしょう? 」

兎「 兄ちゃん、この人は俺の師匠なんだ 」
兎「 昔、親父と共に戦ったカセドリア師団の団長、しいたけ先生だよ 」
慶太「 しいたけ・・・どこかで・・・うーん 」

しいたけ「 まあ、わしのことはよい・・・ 」
しいたけ「 烏賊足殿が亡くなったと聞き、心配しておったが・・・ 」
しいたけ「 慶太殿を見て安心した・・・烏賊足殿も良い子を授かったものじゃ 」

慶太「 ・・・そんな、大それたものじゃないですよ 」

しいたけ「 ほっほっほ・・・ 」
しいたけ「 主がその気になれば軍勢の1つや2つ指揮することも可能じゃろう 」
慶太「 いくらなんでも・・・それは大げさですよ 」

兎「 先生・・・それから、こちらが葵姉さんです 」
そういうと、兎は葵を紹介する

しいたけ「 ・・・おぉ・・・奥方様によう似ておる・・・ 」
しいたけ「 アイオライト様・・・ 」

そういうと、しいたけは臣下の礼をとった

突然に事に訳がわからない葵

葵「 あの・・・え?おじいさん、やめてください・・・そんな 」
しいたけ「 アイオライト様・・・いや、今は葵様か・・・よくぞご無事で 」

葵「 あのー・・・ 」

しいたけは、自分と葵との関係
そして、葵の家族を守りきれなかった事を伝える

しいたけ「 わしが不甲斐ないばかりに・・・申し訳ありませぬ・・・ 」
しいたけ「 ただ、一言お詫びをしたく、恥を忍んで参った次第です・・・ 」
葵「 ・・・ 」

本当の家族が既に亡くなっていることを知りショックを受ける葵

葵「 しいたけさん・・・ 」
葵「 私は、しいたけさんを恨むつもりも責めるつもりもありません 」
しいたけ「 ・・・葵様 」

葵「 本当の家族はもういません、でも私には・・・ 」
葵「 こんな素敵な兄妹たちがいるのですから・・・ 」
しいたけ「 ・・・ 」

葵「 うん、そう・・・今は烏賊足家が私の家で、みんなが私の家族 」
しいたけ「 葵様・・・ 」

葵「 だからもう、自分を責めたりしないで、私は今とても幸せです 」
葵「 亡くなったお父様もお母様もきっと、それを喜んでくれてると思います 」

葵「 それに、私がいなくなったらね・・・みんな餓死しちゃうから・・・ 」

杏「( くっ・・・ )」
廃慈「( ・・・ )」
事実だけに文句がいえない二人

しいたけ「( ご主人様、奥方様・・・ )」
しいたけ「( アイオライト様は、とても優しく、魅力的な女性に育っております )」
しいたけ「( ご安心ください・・・ )」

しいたけ「 ・・・これでもう、何も思い残すことはないですじゃ・・・ 」

葵「 何を弱気なこと言ってるんですか!元気に長生きしてくださいね 」

しいたけ「 これ、兎や・・・ 」
兎「 はい、先生 」

しいたけ「 バンク大会で葵様が怪我するようなことがあったら・・・ 」
しいたけ「 覚悟するんじゃぞ? 」
兎「 ・・・は、はい 」

壷「 しいたけさん、葵姉は俺が必ず守るから安心してください! 」
しいたけ「( 無理じゃな・・・ )」

しいたけ「 そうか、頼んだぞよ・・・ 」


師匠との再会を果した兎
葵との再会をはたしたしいたけ

それぞれの想いを胸に、バンク大会は幕を開けようとしていた